住宅ローンの固定金利はリスクが低いと思いがちですが、商品によっては、固定期間終了後に、ほぼ確実に金利が上昇するものが実はあります。
固定期間終了後は金利がどう変わる?どうすればいい?あまり知られていない固定期間終了後について説明します。
固定金利の種類
住宅ローンの固定金利は借入期間の間ずっと同じ金利が続く「全期間固定型」と、借入期間の一部期間だけ同じ金利が続く「固定期間選択型」があります。
一般的に30年以上で住宅ローンを借りる人が多いので、3年・5年・10年固定金利が期間選択型の代表格です。
3・5年固定金利はメガバンクなど一部に取り扱いが限られ、利用者も少ないですが、10年固定金利はどの銀行でも取り扱いがあります。
近年は、10年固定金利は金利も相場が1%を切っており、手頃なイメージもあることから、変動金利にするか・10年固定金利にするか・全期間固定金利にするかのいずれかで迷う人が多いのではないでしょうか。
10年固定金利は借入から10年間だけの金利です。
10年固定金利を検討している方は、10年以上のローンを組む場合は、11年目以降のことも考えなければなりません。
固定期間終了とは
固定金利の期間中は、自由に金利タイプを変更できません。
変動金利であれば、いつでも違う金利タイプに変更ができるのですが、固定金利では、固定期間が終わった時に違う金利タイプを選ぶのか選択することになります。
同じ固定金利でもいいですし、変動金利でもいいのです。
固定金利期間満了の前に銀行からお知らせが来て、期間終了後はどのような選択をするか選ぶことになります。
固定金利にするときは手数料がかかることがあります。
固定期間が終わったときの金利がどうなっているかは誰にも分かりませんが、住宅ローンの契約では、固定期間終了後の金利について、次のように書かれてます。
これは、その時の店頭表示金利から、引き下げを1.5%行います、という意味です。
将来の金利は分からないけれど、引き下げ幅を住宅ローンの契約の際に決めているのです。
店頭表示金利は各銀行ごとに多少の違いはあるものの、おおよそ2018年4月時点で10年固定金利が3.3%程です。
店頭表示金利-引き下げ=適用金利となります。
引き下げがいくつなのかが、実際に適用される金利に反映されるので、とても重要なのです。
例えば、店頭表示金利が3.3%のときに、「店頭表示金利から△1.5%」という契約であれば、適用金利が1.8%となります。
店頭表示金利が4%に上がれば、2.5%が適用金利ということに。
固定期間終了後の金利の水準が分からないため、11年目以降はいくつの金利になるのかイメージはしにくいところがあります。
固定期間終了後は、〇%の店頭表示金利であれば適用金利が〇%がなる、という考え方をします。
目玉の固定金利は損をする場合も!
固定金利なのに、とても低い商品が最近では見られます。
変動金利よりもお得!と思われるかもしれません。
しかし、実は大きな落とし穴があって、当初の期間のみ金利の引き下げを大きくして、それ以降は引き下げが少なくなる住宅ローンも珍しくありません。
次の2つのパターンを例にして、最終的にどちらがお得なのかを比較してみましょう。
例)3000万円を35年で借り入れるが、当初10年は固定金利を選択する(店頭表示金利は35年間ずっと3.3%のままとする)
■ A:当初10年の金利は0.6% / 11年目以降は店頭表示金利から△1.3%
毎月返済(10年間) | 79,208円 |
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毎月返済(11年目〜35年目) | 93,507円 |
総返済額 | 37,556,981円 |
項目名 | ここに説明文を入力してください。 |
■ B:当初10年の金利は0.8% / 11年目以降は店頭表示金利から△1.8%
毎月返済(10年間) | 81,918円 |
---|---|
毎月返済(11年目〜35年目) | 89,054円 |
総返済額 | 36,546,342円 |
項目名 | ここに説明文を入力してください。 |
上記のとおり、最終的には、11年目以降の引き下げ率が大きいBの方が、毎月の返済額、総返済額が少なくなります。
当初の引き下げだけが著しく大きいものは、固定期間終了後は引き下げがいくらあるのか確認することが大事です。
最初から最後まで金利の引き下げは同じ、という住宅ローンもありますが、固定金利では当初の引き下げのみ大きい住宅ローンはとても多いです。
店頭表示金利が固定期間終了時に下がっていればいいですが、店頭表示金利が変わっていなければ、引き下げが少なくなってしまうので、毎月の返済額が上がる仕組みです。
1.25倍ルールがない
固定金利には、変動金利にはある「1.25倍ルール」がありません。
1.25倍ルールとは、変動金利の利用者の返済額の見直しがかかるタイミングで、金利が上昇しすぎていたときに返済額の上限を以前の1.25倍するルールです。
返済額が急に変わってしまうと返済ができなくなってしまうリスクがあるため、変動金利にのみはこのルールがある銀行が大半です。
しかし、固定金利にはそれがないため、固定金利終了後の返済額の上限に定めがないのです。
以上のようなことから、固定期間終了後は、金利や返済額が大きく変わるかもしれないということを覚えておきましょう。
固定期間終了時に考えること
同じように固定金利を選ぶか、変動金利を選ぶか、いっそ借り換えるの3パターンがあります。
変動金利は店頭表示金利が2.475%(2018年4月時点)なので、10年固定金利の3.3%(2018年4月時点)よりも低いです。
固定期間終了後は、店頭表示金利から△1.3%という住宅ローンであれば、10年固定金利と変動金利は適用金利が次のようになります。
変動金利2.475%-引き下げ1.3%=適用金利1.175%
10年固定金利3.3%-引き下げ1.3%=適用金利2%
金利だけでいえば、変動金利を選択すると、適用金利が下がりますね。
次に借り換えです。
当初のみ金利の引き下げが大きい住宅ローンを利用して、引き下げが少なくなってしまう当初期間が終わった時に、もう一度別の銀行の当初の引き下げが大きい住宅ローンで借り換えるやり方です。
同じ住宅ローンのままだと引き下げは少なくなるのなら、銀行を変えて引き下げが大きい住宅ローンにした方が得、という考え方です。
例えば、3000万円を35年で借り入れ、10年間を金利0.6%で返済すると、10年固定金利終了時は2200万円の残債があります。
11年目からは金利の引き下げが減るので、このタイミングで残債の2200万円を借り換えるということです。
金利0.6%で10年間返済→借り換え→10年間は金利0.6%返済、(引き下げが少なくなる)11年~25年目は金利2%で返済
2200万円の借り換え後の総返済額は25,224,383円です。
最初の住宅ローンの10年間の総返済額9,504,960円と合わせると、35年間の総返済額は34,729,343円になります。借り換え費用は約60万円かかります。
借り換えせず、10年間を金利0.6%で返済、11年目~35年目は金利2%で返済したときの総返済額は37,556,981円です。
このケースでは、借り換え費用がかかっても、10年固定金利が終わった時に借り換えると総返済額が少なくなります。
借り換えは、時期が遅くなれば遅くなるほど利息削減効果が落ちるので、2回も3回も借り換えを繰り返し続けても効果は落ちます。
最初の固定金利が終わる頃には、一度、別の住宅ローンに借り換えをすることを検討してみてください。