住宅ローンの金利

住宅ローンの10年固定金利のデメリットと借入期間別の選び方

住宅ローンの10年固定金利は、ずっと金利の引き下げが変わらないタイプと、当初の引き下げが大きいタイプなど同じ銀行でも商品が2種類あったりと、変動金利よりも複雑です。

選び方によっては、最初だけ返済額が低く、将来は返済額が上がっていくことが考えられます。

10年固定金利を選ぶと、変動金利よりも金利が変わらないイメージですが、実際はどうでしょうか。

借入期間によって選ぶべき10年固定金利のタイプを説明します。

そもそも10年固定金利と変動金利の違いは?

変動金利は、125%ルールや5年ルールと言われるものが適用されますが、これは他の金利タイプにはありません。

変動金利は今でこそ、低金利の恩恵で大きな動きはありませんが、基本的には最もリスクが高い金利タイプのため、急激な金利の変化による返済額の変動で毎月の負担が急に増えてしまうのを防ぐためにこのようなルールがあります。

10年固定金利にはこのルールがないのが特徴です。

つまり、固定期間が終わった時に金利上昇が大きかったときの返済に心配があります。

10年間で1%程度の上昇であれば、返済額の上昇は125%以内ですが、2%近く上昇してしまうと、返済額の上昇も125%を超えてくるので、毎月の負担も重く感じるかもしれません。

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10年後の金利

10年固定金利は固定期間が終われば、変動金利を選ぶこともできますし、また固定金利も選ぶこともできます。

10年が終わると、銀行から固定期間終了のお知らせとともに、今後の金利タイプを選択することになりますが、何も手続きをしない場合は、変動金利に自動的になることが多いです。

住宅ローンは契約時点で店頭表示金利から何%の引き下げになるのかを取り決めます。

契約時点で、店頭表示金利から△2.2%と結ぶと、将来店頭表示金利が変わった時は、その金利から2.2%を引き下げたものが適用されます。

どの銀行でも店頭表示金利には大きな差がありませんが、引き下げが異なることで、銀行ごとの住宅ローン金利が異なっているのです。

住宅ローンを借りてからは、「店頭表示金利の動き」を気にすることが必要になってきます。

店頭表示金利の推移

低金利で長らく住宅ローン金利は変わっていないと思われがちですが、それは変動金利のこと。

10年固定金利の店頭表示金利は毎月変わっていたこともあるくらい少しずつ動きがあります。

10年固定金利は、10年物の国債金利に連動して動いているため、短期プライムレートに連動する変動金利よりも動きがあるのです。

景気が回復しそうになると10年固定金利は上がり始めるので、変動金利よりも先に金利が上がる傾向にあります。

借りてから気にするべきは「店頭表示金利の動き」でしたね。

固定期間中は金利が変わらないので、それほど気に留めることもありませんが、固定期間が終わった時の店頭表示金利は、次にどの金利タイプを選ぶのかに関わってきます。

さて、10年間で見るとどれくらい金利が動いているのでしょうか。

三井住友銀行の店頭表示金利は2018年7月時点で、10年固定金利は3.35%です。

10年前の2008年7月は、4.2%でした。

最近の1年間は動いても3%の前半でしたが、2009年頃は3%後半から4%で動いていましたから、10年間で10年固定金利の店頭表示金利の動きは、1%前後は可能性があると覚悟しておいた方が良いでしょう。

ちなみに、変動金利は2018年7月現在の店頭表示金利が2.475%で、2008年7月は2.875%でした。

変動金利は10年間で0.4%しか変わっていないのです。少し意外ですよね。

長い目で見れば、住宅ローン金利は上がると言われ続けていますが、上がっている幅でいえば、固定金利の方が上がっている事実があり、変動金利が得なのか、固定金利が正解なのか、10年先を見通すことは難しいのです。

10年後も返済が続く場合の返済シミュレーション

10年から先の返済額は将来の金利が分からない以上、確定はできませんが返済期間の長さに応じて、選ぶべき10年固定金利商品は異なります。

10年固定金利には二つのタイプがあり、一つは当初10年間の引き下げが大きいパターンです。

三井住友銀行を例にすると、2018年7月現在で、「最初にぐぐっと引き下げ△2.2%」という商品があります。10年経過後は、引き下げ幅が△1.4%に減ります。

このパターンは多くの銀行で、10年固定金利商品の目玉として扱われていることが多いです。

銀行によっては、1%を切っている10年固定金利もありますが、多くは、最初の10年だけは特に引き下げがあるというものです。

引き下げが少なくなるため、10年後は適用金利が高くなる可能性が高いのです。

もう一つは、返済期間の中で引き下げ幅が変わらないものです。

では、「最後までずーっと引き下げ△1.85%」がそれです。

先のプランと比べると、当初の10年は0.35%の金利差があります。

しかし、返済期間が35年のように長いときは、当初の10年間の低さにこだわらず、全体で総返済額が低い方を選ぶ必要があります。

「当初引き下げ」と「ずっと引き下げ」の比較

35年返済の場合は、どちらを選ぶ方が総返済額が低く抑えられるか比較してみましょう。

■ シミュレーション条件
  • 2018年7月の三井住友銀行の10年固定金利の店頭表示金利は3.35%
  • 3000万円を返済期間35年で借り入れる
  • 10年後以降も店頭表示金利は変わらないものとする
■ 最初にぐぐっと引き下げ△2.2%プラン
当初10年の適用金利 1.15%
10年経過後の適用金利 1.95%(10年経過後は引き下げ△1.4%)
35年間の総返済額 39,015,418円
■ 最後までずーっと引き下げ△1.85%プラン
当初10年の適用金利 1.5%
10年経過後の適用金利 1.5%
35年間の総返済額 38,579,007円

店頭表示金利が今よりも下がっていればいいのですが、変わらないままだと最初に引き下げが大きいプランは、引き下げが少なくなった分は10年以降は毎月の返済額が必ず増えます。

結果として、35年の総返済額では、当初の引き下げが大きい方よりも、通期間で引き下げ幅が変わらない方を選ぶべきとなります。

ちなみに、35年返済ではなく、20年返済では当初の引き下げが大きい方を選んだ方が総返済額が少なくなります。

■ 最初にぐぐっと引き下げ△2.2%プラン
当初10年の適用金利 1.15%
10年経過後の適用金利 1.95%(10年経過後は引き下げ△1.4%)
20年間の総返済額 34,268,768円
■ 最後までずーっと引き下げ△1.85%プラン
当初10年の適用金利 1.5%
10年経過後の適用金利 1.5%/td>
20年間の総返済額 34,743,155円

繰り上げ返済をして大きく返済期間が短縮できる又は、借入期間が短い予定である場合は、当初の引き下げが大きい目玉プランがお勧めです。

10年経過後は残高によっては、変動金利に切り替えてしまうのも方法です。

借入期間が35年のように長い場合は、全体で金利が少しでも低い期間が長くなるよう選ぶと良いでしょう。

10年固定金利は不確定要素も多い

変動金利よりも金利は少し高めだが、金利が変わらない安心感があり、金利が1%前後の銀行が多いので、魅力的に見えます。

ただし、10年も経つと社会の金利水準は変わっている可能性が高いと考えられます。

当初の金利が低くても、10年以降は引き下げが少なくなる10年固定金利が多いので、実質的な返済額は増えることが想定されます。

過去の金利推移から考えても、10年で1%程度は金利が変わってしまうことを含め、余裕のある返済計画を考える必要があるでしょう。

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