住宅ローンの借り換えが話題になっていますが、数年で金利が下がってきており、フラット35同士の借り換えでも、総返済額を減らすことができます。
フラット35への借り換え、フラット35からの借り換えについて、説明します。
フラット35でも借り換えられる
固定金利はその固定期間の間は同じ金融機関の他の金利タイプには変更できません。
そのため固定金利=変更ができないと思い込むかもしれません。
しかも固定金利の中でも、フラット35は全期間固定金利なので、ずっと他の金利タイプへの変更はできません。
そのため、金利を下げるためには、別の金融機関の住宅ローンへ「借り換える」ことが必要です。
ですが、フラット35は、民間の住宅ローンと違い、独立行政法人である住宅金融支援機構と民間金融機関による住宅ローンであり、借り換えができないと思い込んでいる人もいるかもしれません。
しかし、借り換えとは、借りている住宅ローン残高に対して、借り換え先からの融資金を使って、従前の住宅ローンを一括返済することです。
なので、契約タイプがフラット35であっても、借り換えは可能です。
更に言えば、フラット35は全期間固定金利でリスクが低い代わりに、金利は変動金利を始め、住宅ローンの中では高めの設定なので、借り換えによって金利を下げることは比較的簡単です。
フラット35からフラット35へ借り換える
フラット35同士の借り換えメリットは、全期間固定金利同士なので、金利上昇リスクを抑えられることは変わらず、返済額のみを下げることができることです。
金利は窓口となる金融機関によって、少しずつですが差があります。
近年、フラット35の金利は1.5%を割ってきており、金利水準が下がっています。
数年前に2%くらいでフラット35を借りた人は多いのではないでしょうか。
借入期間21年以上35年以下、9割以下の借り入れのとき、2018年10月現在のフラット35の金利は、1.41%〜2.07%(機構団信付き)です。
ちなみに、さらに遡ってみた所、実は2011年5月の金利は2.63%〜3.58%でした。
たった7年程で1%以上も下がっているのです。
住宅ローンの借り換えは、借入が始まってから10年以内にする人が多く、金利が数年で下がっていることを考えると、
過去10年以内にフラット35で借入した人は、多くの人がフラット35同士の借り換えで金利を下げることが可能なのです。
総返済額の差を見てみると、金利が2.63%で3000万円を35年間借入すると、毎月返済は109,350円です。
金利が1.41%なら、毎月の返済額が90,538円に減ります。毎月18,000円も差が出てきます。
10年経過後に借り換えたとしても、35年返済であれば、残り25年あります。
■ 2.63%返済を続けた場合の総返済額
→ 35年で総返済額は45,926,867円
■ 金利2.63%のフラット35から10年目に1.41%に借り換えた場合の総返済額
→ 35年で総返済額は、41,640,966円
借り換えをするだけで、総返済額は420万円以上減るのです。
借り換えには、元々の住宅ローンを一括繰上げ返済するための費用と借り換え先の住宅ローンの手続きにも費用がかかります。
しかし、上記のように、金利の差が1%以上あると、手数料をかけてでも借り換えると利息の削減効果の方が高くなります。
昨今のフラット35は団体信用保険がつくようになった
近年の変更点として、フラット35は2017年10月1日から団信付きになりました。
※そもそも団信ってなに?という方はこちらの記事をチェック!
それ以前は、フラット35の団信加入は、毎月の返済とは別に保険料を年払いする形態でした。
年払い保険料は、借入額に応じて変わり、残高が減ると保険料も少なくなります。
例えば、3000万円を35年の借り入れると、1年目の団信保険料はおおよそ10万円でした。
変更後は、一般の住宅ローンのように、団信保険料は金利に組み込まれることになりました。
現状を年払いで団信に加入している人であれば、金利が下がりさらに団信保険料も込みになるので、借り換えによるメリットはさらに多くなります。
フラット35からの民間の住宅ローンへ借り換える
フラット35から、民間の金融機関の住宅ローンに借り換えるパターンです。
民間の金融機関は変動金利または10年固定金利が主力商品です。
メガバンクには10年以上の固定金利の商品もあるので、全期間固定金利を選ぶこともできます。
ここでは変動金利または10年固定金利を選択すると仮定して説明します。
まずフラット35との大きな違いは、全期間固定金利ではなくなるということです。
借り換え後の返済期間が短ければリスクは少ないですが、フラット35のような全期間固定金利は、多少金利が高い代わりに返済額が絶対に変わらないと言う安心感があります。
変動金利や10年固定金利(返済期間の一部期間だけ固定金利)であると、急激に金利が上昇する可能性はまだまだ薄いですから、借り換えてから数年は、安心かもしれませんが、何十年も先の保証がありません。
特に、10年固定金利は、優遇幅が少なくなることで、10年経過後に適用金利が上がる可能性が高い商品が多く、返済額が将来的にどうなるか総合的に考えて選ぶ必要があります。
また、その他の違いとしてフラット35には、保証料が必要なく、手数料(借入金額×1〜2%)がありましたが、民間の住宅ローンでは、手数料(3〜5万円程度)と保証料(35年借入で100万円あたり2万円程度)の両方がかかります。
民間の住宅ローンもフラット35もかかる諸経費の合計に大きな差はありませんが、手数料と違い、保証料は繰上げ返済をした場合に、一部の保証料が戻ってくることがあります。
保証料や手数料は金融機関によって異なるので、金利以外にも借り換え先を探すポイントになるでしょう。
大きなメリットとして、民間の住宅ローンへの借り換えは金利は大きく下げられます。
金利差だけでみると、変動金利が低いので変動金利0.525%(三菱UFJ銀行2018年10月現在)に借り換えると、フラット35を2.63%で借りていれば、金利差は2.105%。
借入から10年で0.525%に借り換えると、総返済額は38,760,957円に減ります。
2.63%のままで借り続けた場合との総返済額の差は700万円以上です。
将来の金利上昇についてのリスクの考え方にもよりますが、総返済額はとにかく減らすことが可能です。
デメリットとして、審査においては、フラット35よりも民間の住宅ローンは審査が厳しくなります。
最初に借りた際に、フラット35しか審査が通らなかった人は、その原因が解決していないと借り換え先の民間住宅ローンが通らないかもしれません。
今後の金利上昇には早めの借り換えを
住宅ローンの借り換えには金利の差も大切ですが、時期も大切です。
多く人が利用している元利均等返済は、初回の支払いが、最も利息を払っており、返済が進むほど利息が少なくなっていく返済方法です。
つまり借り換えによって利息を削減するためには、早ければ早いほど有利なのです。
住宅ローンの金利は長期的に見ると、上昇するかもしれませんが、短期的に見るとまだまだ横ばいと考えられます。
金利がまだ下がるのではないかと待つよりも、今借り換えたら、いくら下がるかという計算をして、早めに動く方がいいでしょう。
また、住宅ローンを借りたときはフラット35しか審査が通らなかった人は、原因が解消されていれば、早めの借り換えで金利を下げるのも良いでしょう。