ふるさと納税には限度額がある
住宅ローン減税と併用できるふるさと納税ですが、いくらでも寄付をしてよいとされています。
しかし、ふるさと納税で受けられるメリットというのは、寄付をしたときのお礼の品だけでなく、寄付金のほぼ全額を所得税や住民税の控除に回してもらえるという点です。
この制度は、所得税、住民税の基本部分、住民税の特例部分に分かれており、それぞれに控除できる上限が決まっていますので、この金額を上回らないように寄付をしなければなりません。
もちろん、純粋に自治体のために寄付をしたいという場合には、いくらでも寄付をすることができます。
しかし、納税額以上の控除を受けられたとしても、それを翌年以降に持ち越すことはできませんので、節税という目的にはかないません。
ふるさと納税に関して紹介しているサイトでは、収入や家族構成などによっておおよその限度額の目安を表にしていますし、無料でできる計算ツールなども見つかりますので、探してみるとよいでしょう。
一般的には、ふるさと納税を利用していて控除の上限に最初にかかるのは、住民税の特例部分です。
他の部分で控除の限度いっぱいになっていたとしても、特例部分で納税額が残っていれば、まだメリットが得られるということになります。
この制度を見ると、収入が多く、納税額が高くなる高額所得者ほど、高額の寄付をしても控除を十分に受けられるということがわかるでしょう。
逆に、収入が少ない人の場合には、お礼につられて高額の寄付をすると、全額控除を受けられないということになります。
住宅ローン減税を見落とさないように
ふるさと納税の控除は、住宅ローン減税と併用することは可能です。
しかし、住宅ローン減税で所得税や住民税が控除されたのち、さらにふるさと納税から控除できる金額がどれくらいになっているかということに注意する必要があります。
ちなみに、ふるさと納税を限度額以内で行った場合には、納税額から2,000円を引いた金額全てが控除されますので、かなりの節税になるでしょう。
さらに、お礼の品ももらうことができますので、2,000以上の価値のある品物を受け取った場合には、節税と品物で支払った額以上のメリットになります。
住宅ローン減税は、その年度末の借入残高に対して1%相当分が所得税・住民税から差し引かれます。
3,000万円の借入残高があれば、30万円の節税ができることになりますので、年収によってはこれだけで納税額がほとんどなくなるというケースもあるでしょう。
高額納税者の場合でも、医療費控除や扶養控除などのその他の控除が多い場合には、思っているほど控除可能な金額が残っていない可能性があります。
住宅ローン減税による控除額は、金融機関からのシミュレーションを見ると早い段階で年度末の借入残高の正確な数字が判断できます。
しかし、年間を通しての収入や、その他の受けられる控除などに関しては、年度末まではっきりとはわからないという人も少なくありません。
ふるさと納税は、その年の元旦から年末までの間に収めた合計額が対象となります。
限度額ぎりぎりまで寄付をしたいと考えている人は、ほぼ正確な納税額がわかる年末近くになってから計算をしたほうがよいでしょう。
申告が必要なことも
住宅ローンの控除、ふるさと納税の控除はともに、ぜひ利用したいメリットの大きい制度です。
しかし、これらはいずれも申告をしなければ控除を受けられませんので注意しましょう。
住宅ローン減税の場合、最初に減税を受ける年には、毎年年末調整をしている給与所得者などでも確定申告をする必要が生じます。
その際、確定申告書と合わせて住宅借入金等特別控除額の計算明細書やローンの残高証明書、耐震基準や優良住宅であることを証明するものなどを提出しなければなりませんので、税務署で説明を聞いておくと焦ることもありません。
1年目には確定申告が全員必要ですが、2年目以降は年末調整を受ける際に、年末調整のための住宅借入金等控除証明書と残高証明書を勤務先に提出すれば、申告の必要はなくなります。
ふるさと納税に関しては、納税をした自治体から送られてくる受領証明書を確定申告書に添えて提出することになります。
手続きとしてはそれほど難しくありませんが、年末調整に組み込んでもらうことはできませんので、注意しましょう。
なお、もともと確定申告が必要ない給与所得者の場合には、毎年5か所以内にふるさと納税をしている場合には、確定申告をしなくてもよいことになっています。
ただし、その際には寄附金税額控除に係る申告特例申請書という書類を、寄附した自治体へ提出する必要があります。
寄付をするときに一緒に申請書を送ってもらい、後日きちんと自治体に提出しましょう。
申告や書類の提出を忘れた場合には、控除を受けることはできません。