住宅ローンの基礎知識

住宅ローンの変動金利とプライムレートの関係とは

住宅ローンの金利はどのようにして決められる?

住宅ローンの金利は、金融機関や商品の種類によってそれぞれ違いがあります。

また、利率がずっと変わらない固定金利だけでなく、半年ごとに利率が見直される変動金利タイプがあることも、どの住宅ローンを選べばよいのかを難しくしています。

では、これらの金利について金融機関ではどんなふうに決めているのでしょうか。

ごく簡単に言えば、住宅ローンの金利も景気の波にしたがって、好景気の時には高く、不景気の時には低く設定されます。

このとき、金融機関では固定金利については長期国債の利回りを元に、変動金利に関しては短期プライムレートを基準にして金利を決定しています。

そのどちらもが、景気の変化に応じて利率が上下するということが特徴です。

都市銀行や地方銀行では、個人や法人への融資をする際に、国から借りたお金を元にして貸し付けを行っています。

このとき、国は好景気であれば高い金利で、不景気であれば低い金利で銀行への貸し付けをするので、金融機関では、つねに政策金利に応じた利息の支払いを国に対して行っていることになります。

政策金利が上がった状態でも低い金利のままで融資をすれば、金融機関にはその分の損失が発生するため、変動金利のように景気の変化に合わせて利率を変えていくことで、国へ借金を返す際に赤字になることを避けることができるのです。

また、固定金利では変動金利よりも高い利率が当てられています。

これは、将来的に政策金利が上がったときに、その損失分を補うためです。

借り手が支払う利息にその分をあらかじめ上乗せしておくことで、金融機関ではリスクを抑えることが可能になっています。

変動金利と短期プライムレートの関係

プライムレートというのは、金融市場で使われている標準的な金利のうちの1つです。

金融機関では、主に業績の優れた企業や経営状態のよい企業に対して、この金利による貸し付けを行っています。

プライムレートには短期と長期の2種類があり、短期は1年以内の融資について、長期は1年以上の融資について適用されます。

優良企業では、景気の変化にも柔軟に対応していくことができると考えられるため、融資の際には優遇金利であるプライムレートが当てられるでしょう。

つまり、プライムレートというのは貸し倒れの危険性が少ない会社に貸し付けをする場合の金利だと言うことができます。

住宅ローンにおいても、借り手に一定のリスクがある変動金利では、これに準じた低い金利が設定されているのです。

住宅ローンの変動金利は、かつては長期プライムレートを元にして利率が決められていましたが、現在ではより償還期間の短い短期プライムレートが基準です。

変動金利の利率には、この短期プライムレートに1%程度上乗せしたものが用いられます。

ある銀行の短期プライムレートが1.5%であったとすると、その銀行から変動金利によって住宅ローンを借りる場合には、借入金に約2.5%の金利がかかることになります。

また、短期プライムレートが上昇または下降すれば、それに伴って変動金利も上下することになります。

金融機関では、プライムレートの見直しを適宜に行っているのに対して、住宅ローンの金利の見直しは半年に1度です。

すなわち、金融機関が短期プライムレートを変更した場合、現在借り入れている住宅ローンの変動金利も、次の見直しの時点で変わってくると予想できるのです。

金利の変化はある程度予測することができる

優遇金利である短期プライムレートと連動している変動金利ですが、場合によってはそれよりも低い利率になることもあります。

というのも、変動金利の利率は、基準となる金利に優遇幅を適用することで決まってくるからです。

条件のよい人については、短期プライムレートとほぼ同じか、より低い金利で金融機関が融資を行ってくれます。

また、変動金利の利率が今後どうなっていくかについても、ある程度予測をすることが可能です。

すでに書いたように、金融機関では政策金利が上下するのに合わせて、さまざまな融資をする際の金利を定めています。

しかし、政策金利が急に0%から10%に跳ね上がるといったことは通常ありません。

ゼロ金利政策やマイナス金利政策が続いている間は、短期プライムレートや変動金利についても、ここしばらくは低いままで推移すると考えられるのです。

国が政策金利を変更する前には、さまざまな議論が行われるはずです。

景気がよくなった、物価が上がったといった表面的なことに捕らわれずに、こうした政治的な事柄についても注意しておけば、ある程度先までは金利の変化を予測できるでしょう。

また、景気がそれほどよくない時期には、住宅ローンの金利だけでなく不動産価格そのものも下がっています。

物件自体の価格が低ければ、多少の金利の変動があっても、その影響は結果的に小さなものとなります。

また、たとえ金利が変更されても、毎月の返済額が変わるのは5年ごとです。

その際、返済額の上昇については最高で1.25倍までという制限もあります。

景気や金利の動きを予測するのは難しいことですが、金利は気まぐれに変化するわけではないということが分かっていれば、住宅ローンを契約するに当たっての不安も少なくなるのではないでしょうか。

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