住宅ローンの基礎知識

ゆとりのある返済計画を

返済計画の立て方

住宅ローンを利用するときには、まずいくら借り入れるかを決めなければなりません。

物件の金額がまだ決まっていないときには、年収の5倍程度を上限と考えて、オプションをつけたり不要な箇所を削っていくとよいでしょう。

実際には、これに印紙代や登記費用、不動産取得税、固定資産税などの費用が発生しますので、あまり高額な物件にしないように気を付ける必要があります。

返済額から決める場合には、住居にかかる費用を年収の30%以内に抑えましょう。

そのトータルの金額から、固定資産税、管理費や修繕費などを除いたものが年間で払えるローンの額になりますが、ここから金利の分を差し引かなければなりませんので要注意です。

このようにして、収入に見合った住居の額、返済可能な上限額が決まったら、条件のよい借入先を探します。

審査に通らないことも考えて、複数の候補を探しておくとよいでしょう。

金利の低さだけではなく、繰り上げ償還をするときの手数料、借り換えなどをするときの手数料、申込時の事務手数料や保証料なども含め、トータルでどれくらい必要なのかを考える必要があります。

このとき、頭金として手持ちの現金をすべて出すのではなく、いくらかは残しておくようにしましょう。

長期的な返済になりますので、計画にはなかった突発的な支出や金利の高騰、収入の激減などが発生したときにも、ある程度の期間は対応できるような準備が必要です。

返済方法や金利方式にもいろいろなパターンがありますので、きちんと調べておくと自分に合った返し方が選べます。

返済に失敗した事例

住宅ローンの返済計画を組むときには、誰でも完済するまで支払いを続けられると考えていますが、実際に返済を始めると、いろいろな事情で失敗するケースがあります。

最も多いのが、頭金で手持ちの貯金をすべて使ってしまったために、返済が頓挫してしまうケースです。

きっかけはいろいろありますが、不況によるリストラや妊娠・出産による妻の退職や休業、怪我や病気による休職、車や大型家電などの買い替え、子供の進学、高額な修繕費の請求などが挙げられます。

毎月の負担を軽くしたいと考えるあまり、全く現金を残していない場合には、数十万円程度の支出を捻出することもできなくなってしまいますのでローンが払えなくなります。

まして、滞納すると相当額の利息や損害金が発生しますので、追いつくのも困難です。

また、金利の高騰による返済の滞納もよくあります。

変動金利を選択した結果、最初はよかったものの徐々に金利が高くなっていき、それによって毎月の負担額が高くなるというパターンです。

契約時の1.25倍を超える毎月の負担はありませんが、払いきれない利息は未払い分として積み重なっていきますので、いつかはそちらも返済しなければなりません。

市場の動向を見通せて、リスク管理ができる場合を除いては、ある程度固定金利を選択したほうが安定した返済を続けられるでしょう。

このように、長期間の返済はいろいろなトラブルがつきものですので、返済の計画を立てるときには、これらの失敗をしないように気をつけましょう。

どのような計画を立てるべきか

まず、金利に関しては、変動金利と固定金利があります。

変動金利は通常、5年に一度利率を見直して変更するタイプですので、将来的に利息が下がるのか上がるのか、予測がつきにくいです。

しかし、固定金利よりは利率が低くなっていますので、短期間で返済できる場合におすすめです。

一方、固定金利は利率が一定になっていますので、金利が低い時期に契約すると完済まで安心して返済していくことができます。

返済方法は、元金均等と元利均等があります。

元金均等は、毎月同じ額の元金に加え、一か月分の利息を払う方法です。

借り入れ当初は残高が多いので高額の返済になりますが、後になるほど支払額が少なくなり、将来的に負担を減らしたい人に向いています。

元利均等は毎月の返済額が一律ですので、返済計画は立てやすくなっています。

ただし、元金均等と比べるとトータルの支払額が高くなりますので、最初から負担の大きい返済をしたくないときなどに選ぶとよいでしょう。

返済額に関しては、住居費の30%を超えない範囲で設定してローンを組みます。

期間を短縮したいときには繰り上げ償還をするという方法もありますので、返済プラン自体はゆとりのある内容にしておきましょう。

なお、繰り上げ償還のときも、期間短縮と負担軽減の二種類があります。

期間短縮の方が支払総額を抑えられますが、毎月の支払いを少なくしたいときは負担軽減を選ぶようにするなど、自分たちの家計や現状に合った方法を選ぶことで、完済まできちんと支払いを続けていくことができます。

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