住宅ローンの基礎知識

住宅ローン返済中に転勤になった場合、ローン控除はどうなるの?

家族で引っ越す場合

住宅ローン控除が受けられなくなる事例としては、転勤に伴い家族全員で引っ越すケースが挙げられます。

その理由として、ローン控除を受けるためには、購入した住居に住み続けなければいけないという決まりがあるためです。

投資目的の不動産購入に、ローン控除が適応されないよう定められたものですが、転勤時にはこれが大きなネックとなります。

たとえ自分に転勤の意思がなかったとしても、引っ越しを伴う異動が命じられることがあります。

転勤先に家族全員でついていく場合、せっかくの税的恩恵を受けられなくなることがありますので、できれば異動の可能性が低いタイミングで住宅を購入するとよいでしょう。

住居購入後10年を過ぎた場合は、ローン控除の対象から外れることから、転勤しても税制面では大きな違いはありません。

よって、10年間は引っ越しが伴う異動を希望しない旨を会社側に伝えておくことがおすすめです。

また、転居によってローン控除の対象外となった場合でも、控除期間内であれば再入居の際に再び控除を受けることは可能です。

例として、始めの1年間マイホームに住み、その後3年間住居を離れて再び戻ってきた場合、残りの6年間は控除を受けられます。

あくまで住宅購入から10年間の優遇制度となるため、住んでいなかった期間の優遇分を10年経過以降に受けることはできませんが、ありがたい救済措置となっています。

短期間でマイホームに帰ってくる可能性がある場合は、ぜひこの制度を利用しましょう。

単身赴任する場合

住宅ローン控除は、ローン名義人の住民票が購入した住居にあたるため、転勤が決まった場合でも、単身赴任をすれば住宅ローン控除を最大限利用することができます。

ただし、海外転勤の場合は海外転居届を提出することになり、たとえ単身赴任であっても住宅ローン控除を受けることができないため、注意が必要です。

また住宅ローン控除をフルに受けられる以外にも、単身赴任には二つのメリットがあります。

一つ目は、ほとんどの会社で単身赴任手当が設定されている点です。

転勤先で、家族用の賃貸を借りるとなると金銭的な負担が大きくなりますが、一人用のワンルームの場合は安く抑えることができます。

月々の住宅ローンの支払いを考えると、会社から単身赴任手当をもらい、手ごろなワンルームに住む方が家計には優しいでしょう。

二つ目は、引っ越しに伴う手間を軽減できる点です。

家族で引っ越しをするとなると、家財道具の量も膨大で配送費用も高額となりますし、新居に合わせて家具の買い替えなどが必要となるかもしれません。

一方単身赴任の場合は、荷物も少なく家財道具も安値でそろえることが可能です。

子どもがいる場合は、保育園探しや転校の手続きなども必要となりますので、単身赴任の場合、これらの手間を軽減することができます。

よって単身赴任は、金銭的なメリットが大きく手間もあまりかからないため、おすすめとなっています。

長期間家族と離れるのがつらくても、ローン控除の対象となる10年は単身赴任する方がよいかもしれません。

家を貸し出す際の注意点

転勤により家を空ける場合、それを賃貸として貸し出したいと考える方も多いでしょう。

転居のための費用をはじめ、家を所有しているのはローン名義人となるため、固定資産税などの税金も支払うこととなり、いろいろとお金がかかります。

そこで持ち家を賃貸として貸し出すことで、その分の収入を得ることを目指します。

しかし、家を貸し出す場合にはいくつかの注意点があります。

一つ目は、備品が壊れた場合の修理費用を支払う必要がある点です。

エアコンなどの電化製品や、テーブルやソファなどの家具を家に置いていく場合、それらの修理費用は、貸主が支払う義務があります。

また人が使用することで、キズや汚れがつくことも考えられます。

もしも大切にしたい備品がある場合は、転勤先に持っていくか、トランクルームなどに保管することをおすすめします。

二つ目は、期限付きの賃貸となるため、相場より安い価格で貸し出されるケースが多い点です。

特に、数年後に帰ってくる予定がある場合は、限られた期間での賃貸となります。

ファミリー向けの賃貸は、頻繁な引っ越しを避ける傾向にあるため、期限付き賃貸の需要は多くありません。

そのため借りてもらうには、相場より価格を押さえて貸し出す必要があるのです。

このような注意点があるため、家を貸し出す場合は銀行や不動産会社によく相談し、最適なプランを考えることが大切となります。

転勤しないことが一番ですが、転勤となってしまった場合でも、負担をできる限り軽減する方法を見つけましょう。

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